前回のシンポジウムの続きです。

前回をまだ読んでいない方はこちら⇒ 環境省主催シンポジウム1

続いてパネルディスカッションなのですが、その前にサーペル教授と菊水教授以外の参加者である東京大学の教授で獣医師の西村先生、ヤマザキ学園大学の新島准教授、弁護士・司法書士の渋谷先生、環境省動物愛護管理室長の則久さんからそれぞれ自己紹介を兼ねた自分の分野のお話がありました。

特に印象が残ったのが、新島准教授がお話した「日本と西洋の死生観の違い」についてです。

日本は多神教の文化で、現世を大事にし一日でも長く生きて欲しいという考えだが、西洋は主にキリスト教で死後のことを大事にし、一日でも長く生きて欲しいというよりは、どのように生きたかの方が大事だ、と考え方が違うということでした。

西洋では、いろいろな理由で飼えなくなったペットを、飼主が動物病院に連れて行って安楽死をしてもらうという話を聞きますが、このような死生観の違いからきているのだということがわかりました。

パネルディスカッションは、観覧者からの質問を生命、科学、法律、行政の観点からそれぞれお答えいただくという内容でした。

色々な質問がありましたが一つだけ紹介させて頂くと、「なぜペットショップでの生体販売はなくならないのか」という質問です。

私もペットショップでの生体販売は反対で、ブリーダーから向かい入れたイヌよりもペットショップから向かい入れたイヌの方が問題行動を起こす確率が高いというデータもあり、法律で禁止になって欲しいと思っている一人です。

これを法律の観点から渋谷先生がお答えしたのですが、まず立法するには合理的な理由が必要で、私たちが思っているのは動物愛護の消費者からの観点だけで、逆には販売者からの観点もあり、そちらには「営業の自由」という憲法で保障された権利もあります。

また法律的には、科学といえども絶対ではないとの見方らしいです。

確かに数十年前の科学で当時は正しいと思われていたことが、新しい発見によって覆されたことはたくさんありますよね。

ですから法律は、社会・経済・政治・科学・道徳・倫理などを踏まえて総合的に判断して法律改正するみたいです。

しかし今は世間では動物愛護の流れになってきていて、平成25年度の改正で20時以降の販売は禁止になったように、少しづつですが良い方向に向かっているのかなと思います。

将来的にはぜひ生体販売は禁止になって欲しいですね。

今回のシンポジウムは、何か結論を出すためでなく現状を話し合うためのものだったので、何かモヤッとした気持ちで終わってしまったのですが、いろいろな観点からのお話が聞けたのは勉強にはなりました。

またイヌの動物行動学は、近年になってやっと研究対象として活発になってきた分野で、まだまだデータも少なく、実はよく解っていないということも知りました。

私たちトレーナーが知っていると思っている知識は、経験から得たもので科学的な根拠はないみたいです。

ですから私たちも常に勉強して最新の知識を身に着け、少しでも犬や飼主さんのためになりたいなと改めと思いました。

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