環境省主催のシンポジウムに行ってきました。

テーマは「動物の愛護と管理と科学の関わり」です。

動物愛護法は、動物の「愛護」と「管理」の分野からなっており、ここに科学の在り方について考えるという内容でした。

基調講演は、ペンシルバニア大学のジェームス・サーベル教授です。

サーペル教授は「c-barq(犬の行動解析システム)」というシステムを開発した方です。

「c-barq」とは、飼主や調教師に犬の行動特性を評価するうえで役立つ標準化された質問100個を5段階で答えてもらう、インターネットを介した犬の行動調査方法です。

これの何がすごいかというと、今までは問題行動の明確な発生割合や、なぜあるイヌでは問題行動を呈するのに、他のイヌでは起こらないのか、についての原因とプロセスについての研究はあまり行われてませんでした。

それは家庭犬の行動についての信頼のある正確な行動学的データが不足していたことが一因と言えるので、飼主から同居犬の行動データを広く収集するために開発されたのがこのシステムです。

これは犬の行動特性を評価するうえで役立つ”物差し”となり、このデータは数多くの研究で活用され高い評価を得ています。

「c-barq」を用いた研究の一つとして紹介があったのは「仔犬をいつ親犬から離すのが良いのか」というお話でした。

ベストの時期は7~9週とのことです。

それより早いとストレスがかかり、将来的に問題行動を起こす確率は高くなるみたいです。

これは私たちドッグトレーナーも同じ時期を推奨しているので、科学的データに裏付けされて良かったです。

 

続いてサーペル教授の共同研究者である麻布大学の菊水教授の講演です。

動物は様々な感覚器を用いてお互いの情報を交換し社会生活を営んでおり、その基礎となるものが母子間におけるコミュニケーションいえます。

近年の研究で社会経験や発達期環境がどのように脳内で社会性の機構を変容させるかが解明されてきました。

今回は、マウスの早期離乳モデルを用いた研究成果を中心に、脳の機能発達と情動行動の変化についてのお話でした。

脳内物質の話など少し難しかったのですが、簡単にまとめると哺乳類は早い時期に子を親元から離すと異常行動を起こすということでした。

早くに親元から離すとイヌに限らず、マウスのような小さい哺乳類でも影響が出るんですね。勉強になります。

 

最後にパネルディスカッションだったのですが、長くなってきたので今回はここまでにさせていて頂きます。

次回はパネルディスカッションのお話を書かせてもらうので、ぜひお読みください。

続きはこちら ⇒ 環境省主催シンポジウム2

 

 

 

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